正解のない農業を、自分の手で耕して

北海道・十勝。広大な畑が広がるこの地で、「十勝とやま農場」を営むのは4代目の外山隆祥さん。小麦や小豆、大豆、かぼちゃ、じゃがいもなどを育て、土壌にやさしい輪作を実践。さらに農業体験型のゲストハウス運営や食育イベントなど、地域と共に歩む農業の形を築いています。

「シングルオリジン」に込めた誇りと責任

農協出荷では、様々な農家から集まった小麦が混ざって出荷されます。その年ごとの気候によって品質が変わることも多く、ある意味では「仕方がない」現実があります。けれど、あえて単一農場由来の「シングルオリジン小麦」にこだわる道を選びました。

「名前を出すからには、良いものを届けたい。妥協せず、納得できる品質を追い続けたい。その方が作る自分も楽しいし、プライドを持てるんです」。外山さんの目は、まっすぐでした。

栄養価と風味を活かした製粉方法

現在、日本で流通している小麦粉のほとんどはロール挽き製粉による真っ白なものです。これは、細かいフスマ分をピュリファイヤーという機械で精密に分離しているためです。また全粒粉についてもロール挽き製粉で、一度完全に分離したものを再度混合するような作り方をされています。

一方、ベーカリスタのクラフト小麦粉は、強力粉でも完全な白ではありません。製粉の過程で、小麦粉の粒子と同じくらい細かくなったフスマを取り除かずにそのまま製品にしています。実はこの方が栄養価の面でも、香りや味わいの面でもプラスの効果があるのです。